アンフェアなのは誰か?―山はだれのもの?

2011年10月15日 20:10


★ 森のクマさんと人間 ★



最近ツキノワグマが増え、日本中のあちこちで山里に出現し、そして殺されるといったニュースが後を絶ちませんね。銃殺されたと聞くたびに、可哀そうにと思うのは、わたしだけではないでしょう。これはあくまでも感情論ですが、「可哀そう」だけではすまされないものが、いろいろと内包されているように思います。

前回の記事で、島根県雲南にある滝を見に行ったとき「ツキノワグマ出没」の看板を見たことを書きました。ツキノワグマは九州では絶滅したようなことが伝えられていますが、現在本州や四国ではけっこう生息しているようです。
作物を荒らしたり、人間に危害を加えたりするということで、人々はクマを危険な「有害動物」とみなしていますが、一方では「保護しなければいけない」ということで、懸命に保護活動を行なっている人たちもいます。

今回は、「森のクマさん」に対する「人間」のさまざまな関わり方と見解の相違を皆さんに知っていただき、人間に殺処分されているクマさんに対して思いめぐらしたことを、それぞれ正直に出してみていただきたいなと思い、取り上げることにしました。


★ 学習放獣~殺処分へ ★



昨年(2010年度)は、全国的にツキノワグマが大量出没した年だったようです。それで、今年「ツキノワグマ保護管理計画」(07年10月~12年3月)を見直す方針を固めたのが鳥取県です。その旨は9月のニュースなどで伝えられ、ご存じの方も多いかと思います。

新聞によりますと、鳥取県内でのクマの生息数は200~450頭を超え、現在は増加傾向にあるということです。現行計画では、有害捕獲で捕らえたクマは学習放獣しているらしいのですが、(10年度は放獣後に再度現れた個体など40頭を殺処分としている)住民から個体数を減らしてほしいという要望が強く、県は計画を変更する判断に踏み切ったというわけです。

「有害鳥獣捕獲」の場合、人への恐怖心を与えてから放つ「学習放獣」は行わず、「原則殺処分」とするということで、今回その方向に転換したわけです。計画途中の見直しは、中国地方では初めてだそうです。
県公園自然課によると、「県内では10年度に延べ134頭が捕獲され、同年8月には鳥取市内の男性がクマに襲われて死亡するなど人身事故も2件発生。果樹園での農作物被害なども報告された」ということです。

計画変更後は、イノシシやシカのわなに誤って掛かった錯誤捕獲のクマは、これまでと同様に学習放獣で対応。しかし、人家近くに出没し、農作物に被害を与えるなどした個体は殺処分するということです。県はクマの生息数を、捕獲頭数が8頭だった09年度のレベルに減らす目標を立てており、今秋にも「個体数調整」が行われる可能性もあるとしています。

★つまり、クマの数が少ない時には保護して山に帰していたけれども、クマの数が増えて、人家近くに出没し、農作物に被害を与えるようになると、殺処分するということなんですね。
これに対して、「日本熊森協会」が鳥取県に意見書を提出しました。
下記はその記事です。


~ツキノワグマ:個体数調整反対 日本熊森協会が県に意見書提出/鳥取~ 


毎日新聞 9月29日(木)15時52分配信

 自然保護団体のNPO法人「日本熊森協会」(森山まり子会長、本部・兵庫県)は28日、県に対し「ツキノワグマ個体数調整導入の撤回」を求める意見書を提出した。県は「ツキノワグマ保護管理計画」を変更し、20日付で告示。捕らえた熊を原則殺処分としたほか個体数調整を行うことも盛り込んでいる。
 県は昨年度、ツキノワグマが人里に大量に出没したことなどから生息推定数を調査。約250~400頭と増加傾向にあると判断し、計画を変更した。
 同会は「出没数が増えたのは、山の実りが少なかったから。個体数が増えたわけではない」と主張。「熊の食料を確保するためにも奥山の自然の再生に力を注ぐべきだ」としている。



★この「日本熊野森協会」は、「開発・拡大造林・地球温暖化・酸性雨などにより猛スピードで劣化していく我が国の奥山を、全生物と人間のために保全・復元しようと、森の最大獣であるクマをシンボルに活動を続けている完全民間の実践自然保護団体」であると謳っています。


下記は「日本熊野森協会」側から発信されたニュースです。

~大量に捕殺されていく北海道のヒグマ 
6日恵庭市で殺されたのは、胃の中空っぽ~


2011-10-07 (金) くまもりNEWS | クマ保全 | 野生動物保全

推定2000頭の北海道のヒグマですが、3年前から大量に殺されています。この原因の一つは、3年前にヒグマの駆除許可権限が、道庁から市町村に降ろされたことだという指摘があります。とにかく、行政担当者がクマのことはよくわからないので、人間に何事も起こらないうちに殺しておこうと、捕殺一辺倒になっているというのです。国立公園内に罠をかけていた町もあったそうです。

2009年・・・・601頭
2010年・・・・540頭
2011年・・・・約500頭???(10月7日現在??)

北海道の今年のミズナラの実りは道庁発表では大凶作です。しかし、北海道で調査されている研究者に聞くと、結構ミズナラはなっているということです。場所によって違うのでしょうか。

10月6日、恵庭市で殺されたヒグマの場合は、胃の中も腸の中も空っぽだったそうです。各市町村で、太い鉄格子の捕獲檻(1m×1、2m×2、77m)をしかけ、中にはハチミツ、コマイ(干し魚)、ビート(てんさい)チップが誘引剤として入れられているそうです。ほとんどのヒグマは、暗くなってからそっと人里に出て来て、明け方に山に帰っていくそうで、人を恐れているのがありありとわかるという事です。電気柵とか使って守りたいところを防除するならともかく、お金や力は使わずに罠をかけて次々と捕まえて殺してしまえばいいというのが、北海道の大勢だそうで、道民の中から、あまりの残酷さに胸のつぶれる思いだ、野蛮すぎるという声も入っています。

「ヒグマ凶暴」というテレビのテロップや、冬ごもり前の食い込み用食料がなくてひもじい思いをしているヒグマの心がわからずに、味しめ説・人なめ説など唱え、一方的にクマを悪者にしている専門家が、「ヒグマなんか殺してしまえ」という世論を形成していっているということです。殺すことが当たり前になるなんて、恐ろしい話です。つかまえてもいいが、えさのありそうな山に運んで放獣してやってくださいという声を、みんなで市町村行政に届けましょう。

どこの市町村がどういう対応をしているのか、調べてみようと思います。とてもこんな状態では、ヒグマとの共存などできそうにありませんね。最近の日本人の、他生物の命への軽視、蔑視には恐ろしいものがあります。人間としての温かさを取り戻しましょう。

(上記は「日本熊野森協会」クマ保護活動 http://kumamori.org/activity1/bear/ より掲載させていただきました)


☆一方では、
NPO日本熊森協会は、ツキノワグマの捕殺に反対し、山間にドングリを散布を行っている団体で、専門家から厳しい批判にあっている団体だ。ドングリの配布でクマの保全は行えない一方で、散布するドングリに虫や菌が入り込んでおり、それらを拡散する可能性があり、野生のクマの行動を変化させる可能性があるため、活動が批判されている
として、
ツキノワグマは絶滅危惧種だから保護しなければいけない」「絶滅危惧種を殺すなど言語道断」と主張して、日本中から集めたドングリをヘリコプターで山中に撒いたり、逆にクマの生態系を乱したりしている団体だと批判的に見ている人たちもいます。


★「絶滅寸前のクマを 保護できない本当の理由」と題して、こんなニュースもありました。

~絶滅寸前のクマ 保護できない本当の理由~

2006/8/30 11:00   J-CASTニュースより

クマの被害が全国各地で相次いでいる。青森県では目撃件数、「食害」とも2005年の5倍で、人的被害も既に昨年を2件上回る6件だ。クマはその場で銃殺されるか、捕まっても結局、殺される場合が多い。動物保護団体などはこれに反発、「クマを絶滅から救え」というキャンペーンをしている。クマを山に帰したり、動物園などで保護できればいいのだが、それもできない理由が行政や受け入れ側にあった。

クマの出没は各地に広がっている。青森県では06年1月1日から8月24日までの目撃情報が昨年同期の5倍にあたる204件。トウモロコシやプラムなどが食い荒らされる食害が同5倍の32件。襲われたのが6人になっている。岩手県では人身被害が10人になり「ツキノワグマの出没に関する注意報」が06年6月に発令された。捕獲頭数は昨年の53頭に対し、現在ですでに40頭になっている。群馬県では人身被害が昨年1人に対し06年はもう2人。長野県では8月24日までに捕獲が17頭で昨年1年間の7頭を大きく上回った。飯田市、松川町、阿智村、下条村、喬木村など広範囲にわたり、山林に限らない出没になっているという。

~帰したとしてもまた人里に下りてくる ~

クマ被害の原因について青森県庁では、「子連れで出没するケースが増えている。昨年、ブナの実やドングリなどが豊作で、例年以上に繁殖し個体数が増加したためではないか」 とJ-CASTニュースに答えた。岩手県庁では、「今年はブナが育たないサイクルにあたるため、子連れクマが出没する可能性が高いという予測をしていた」と話した。


クマを山に帰すのは難しい
クマを山に帰すのは難しい   J-CASTニュース提供


クマの銃殺や捕殺に、動物保護団体などは異議を唱えている。ツキノワグマは絶滅の恐れがある地域個体群として環境省に指定されていて、「ツキノワグマの推定個体数が約1万頭、ヒグマが約2,000頭と少ないのに、狩猟と有害駆除は年間合わせ1千数百頭が殺されるのは多すぎる」などが理由になっている。

クマが人里で暴れたり、捕獲したというニュースが流れると、県庁の自然環境課などに、「かわいそうだからクマを殺さないで」という電話が入ってくるという。捕獲した熊を生活している山に帰せればいいのだが、行政側にもそれができない事情があるようだ。

ある県庁の職員は、帰せない理由を経費の問題、労力の問題や、帰したとしてもまた人里に下りてくる可能性の高さをあげたうえで、「山の所有者にクマを返すと申し出ても、承諾が得られないのが普通なんです」と答えた。
かといって、動物園かクマ牧場などへの引取りも難しいのだ。
群馬県沼田市では今年、小熊を1頭「沼田公園」に引き取ってもらった。しかし、これは稀なケースで多くの行政関係者は「していない」と答えた。理由は「近くに動物園など飼育できる施設がない」というものだが、ある県庁職員は「引き取ってもらっても、批判が出る可能性があるし…」と話した。

~クマ牧場も「野生のクマは引き取りません」~

05年8月19日に世界動物園水族館協会のエドワード・マカリスター会長が東京都内で会見し、日本国内の「クマ牧場」について「先進国の日本で、まだこんな劣悪な環境でクマの飼育が行われているとは驚いた」と厳しく批判した。「なぜあんな施設に渡したんだ」といった批判が出るのを気にして、引取りに消極的になっているのだ。

そこで、「クマ牧場」側にも聞いてみた。あるクマ牧場は「野生のクマは引き取りません」と答えた。「病気を持っていたりすると、全滅の危険も出てくる」という理由だった。仮に引き受けても、群れの一員になりにくいため、収容施設を新設しなければならない、という。その費用も問題だ。昨年まで野生のクマを引き取っていたという、あるクマ牧場も今年は引き取る予定はないという。
熊と人間の共存は難しい。


★「熊と人間の共存は難しい」とありましたが、「いったいだれが難しくしているの?」と思いませんか?


★ 放射線はすべての生物に害を与えている ★



~日光のツキノワグマ 基準超えるセシウム 栃木~

産経新聞 10月13日(木)7時55分配信

 日光地域でツキノワグマの生態調査を行っている茨城県自然博物館(茨城県坂東市)と東京農工大は12日、日光市足尾町内で捕獲されたクマから基準値(1キロ当たり500ベクレル)を超える677ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。博物館動物研究室の山崎晃司首席学芸員は「ツキノワグマから基準値を超える放射性物質が検出されたのは初めてでは」と話している。

 検査したクマは、8月23日に有害鳥獣として捕獲された成獣。日光市から博物館に連絡があった。複数のツキノワグマの追跡調査から、クマの行動範囲は400平方キロに及び、日光市と群馬県の片品村、沼田市などを行動していた可能性が高い。植物の新葉や花、果実、アリやハチなどの食べ物から放射性物質を体内に取り込んだとみられる。

 これまで、秋田、岩手両県などでツキノワグマの放射性物質が調べられたことはあるが、基準値を超えたのは今回が初めてという。


★クマさんも、放射性物質の大きな被害者なんですよね。
放射性物質は日光にまでやってきているんです。
何も知らないで植物を食べているクマさんたち。
植物も少動物も昆虫も、みんな被害者です。

人間は彼らに対して申し訳ないと思わないのでしょうか?
何か悲惨で、涙が出てきませんか?

今回はニュース記事ばかりでしたが、そのままをお伝えした方がよいと考え、
いろんな見解を掲載させていただきました。
皆さまからのご意見やご感想をいただけるとうれしいです。
いただきましたコメントは、皆さんに考えていただく材料として掲載させていただくことがありますので、どうかご了承ください。



ハート
この問題はクマだけに限ったことではないのです。
現在は、いつ天変地異が来るかわからない時代です。
絶滅危惧種というなら、人間だってそのなかに入ります。

人間はともに地球に暮らしている動物に対する愛に欠けています。
自分たちに有害なものと思えば、すべて殺します。
そして、有益だと思ったものも殺して、食べ物や衣服の材料にしてしまいます。
人間は人体に必要な菌でさえ、殺すのです。

地球の生態系を殺しているのは、まちがいなく人間です。
こんな人間が地球で悪性ガンのように蔓延って、どんどん増えていっているのです。
地球上で必要以上に増えているのは人間のほうなのです。
その人間たちが被害に遭うからと言って、勝手にクマを「有害動物」と定め、何も被害を及ぼしていない先からどんどん殺してしまいます。

クマさんだって、一生懸命に生きているのです。
子どもを育てるために、食べ物を探して、人里近くに来ることだってあります。
そんな母グマと子グマを、人間はその姿を見つけたという理由だけで撃ち殺しているのです。

アンフェアなのは誰か?

あなたの家の近くにクマが現れたら、どうしますか?

大切なのは、この問題をあなたがどう受け止め、どう対処するかです。
自分で考えること。すぐに役所や人任せにしないで自分で考え、判断すること。
それが個人個人の成長に影響を与えます。

共に考えていきましょう。
あなたのコメントをお待ちしております。







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