精神の男女両性具有となる―天国に入るための必要条件

2010年12月16日 17:00


シモン・ペテロ彼らに言う。
マリアを我らより離れしめよ。
女は生命の価値なかりければ。


ペテロは言った。
「マリアを私たちの間から出てゆかせよう。
女性は〈生〉に値しないのだから」
                       
イエス言いたもう。
見よ。我マリアを導きて、マリアを男となさん。
マリアまた、汝ら男たちのごとく命ある霊となりぬべし。
おのれを男とせし女らみな、天国に入ることを得たればなり。 


イエス、言う。
「見ていなさい。私が彼女を導く。
彼女を男性にし、彼女もまたあなたがた男性と同じように
生ける精霊となることができるように。
なぜなら、自らを男性となす女性はすべて
天国〈王国〉に入るからである」


    グイド・レニ作
    グイド・レニ作『マグダラのマリア』


前回は上記の「トマスによる福音書」の一節をご紹介しました。
皆さん、イエスが「我マリアを導きて、マリアを男となさん」と言った意味を考えてみてくださいましたでしょうか?



★ 自らを男性となす女性とは? ★



わたしはここでスイスの分析学者C・G・ユングの〈アニマ〉〈アニムス〉を思い起します。

ユングは、男性の無意識の中には、感情を補償する永遠の女性のイメージ〈アニマ〉が存在し、女性の無意識の中には思考を補う永遠の男性のイメージ〈アニムス〉ができあがり、それぞれが段階をたどって意識に表われてくるという理論を提唱しました。

★〈アニマ〉は〈魂〉を意味するラテン語で、〈アニムス〉は〈アニマ〉の男性形で、〈精神〉というふうに訳されていますね。
心理学が好きな人であれば、そのあたりのことは十分に知っておられることと思います。

イエスが言うところの「おのれを男とせし女ら」、すなわち「自らを男性となす女性」とは、ユングのことばを借りると、〈アニムスに目覚めた女性〉ということになるでしょうか。

アニムスを十分に意識することによって、女性は「真実に対する勇気ある発言ができるようになる」ということです。
たとえば、アニムスを十分に自覚した妻は、夫に対しても理路整然とした批判や意見を述べることができ、夫のよき相談相手となることができるというようなことです。




★ イエスが言った「女性を男性にする」という意味 ★



一般的に、男性は「思考的・頭脳的」、女性は「感情的・肉体的」だとされていますね。
女性は頭で考えるよりも、直感で、身体で、すべてを感じとります。

イエスは言いました。
私が彼女を導く。彼女を男性にする」と。

つまり、イエスは、マリア(女性)に欠けている男性的な質に目覚めさせて、「女性性と男性性を統合する」ことをほのめかしているのです。


★これは、ひとつの考え方ですが、「女性を男性にする」というのは、暗い「無意識の部分を意識的なものに変える」ということを意味すると考えることができます。

女性の内にある無意識の部分を目覚めさせ、それを意識にまで昇華させると、女性のなかで男と女の両極の統合が起こるのです。
すなわち「精神の男女両性具有」となり、女性は全面的に変容するのです。

そのとき、女は全くの男になってしまったわけではありません。
また、別の第三の存在になったのでもありません。
女と男の対状態を内包した全一となったのです。
それは全く非の打ちどころがない人になったという意味ではありません。
必要なものが、すべてそろっているという意味です。


となると、当然男性にも同様のことが言えますね。
女が「おのれを男」としなければならないなら、男も「おのれを女」としなければ、天国(王国)には入れないはずです。
そうですね?

そうでなければ、完璧に片落ちです。
天国に行くのは男性ばかりなんて、ありえませんから。

イエスが片方だけしか語らなかったのかどうかはわかりません。
トマスによる福音書」には、記録は残っていないからです。
真相はわかりませんが、ここのところは非常に大事だと思うのです。

天国に入るには男性も「女性性」に目覚めなくてはならないはずだからです。
男性は女性のもつ陰の部分、受容することや信頼することに目覚めなければなりません。思考や意識だけでは全体に至ることはできないからです。


イエスさま、「男もおのれを女としなければ天国には入れない」とはっきり断言してほしかったですね。
男性のマインドだけでは、半分にすぎないのです。
男性のマインド+女性のマインド=全体」となるのですから。

人はだれも男性性と女性性が統合され、バランスがとれてはじめて、「命の根源」と同様に統一された状態に入ることができるのです。
霊的存在の究極の姿は、二つの対極を併せ持った存在、すなわち「男女両性具有」なのですから。


★この考えに賛同してくださる人は、心からの拍手を!



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