2010年10月27日 22:20
★ 「霊界通信」についての考察 ★
今回は類魂説をお伝えする前に、霊界通信と呼ばれるものの信憑性について、マイヤースの例を挙げてお話ししたいと思います。
マイヤースの霊界通信の内容は、浅野和三郎氏の『永遠の大道』という題名で潮文社から出版されていますが、お読みになった方はいらっしゃるでしょうか。
浅野氏の翻訳本は大正14年に復刻されており、その復刻版の新装版をつい最近購入して読んでみたのですが、旧式の漢字が使用されたままで、誤字当て字もあり、印刷も鮮明でなく、正直言って、大変読みづらいものがありました。
じつは「類魂」が説明されているP70~80の箇所を、長女に朗読してほしいと頼んだのです。
果たして、旧字が読めないだけでなく、意味がわからないことばが多々あり、辞書で調べても不明の文字もありで、10ページの内容をすらすらと読めるようになるまでに、数時間を要してしまいました。(苦笑)
長女は「もう二度と読まないであろう」と言い残し、わたしに本を返しました。(さもありなん…)
これから読む若い人たちのためにも、現在の漢字と仮名づかいに直して、発行していただきたいと、つくづく思ったしだいです。
★ マイヤースについて ★
★さて、死後霊界通信を送ったフレデリック・ウィリアム・ヘンリー・マイヤース氏は、1843年に英国に生まれました。
彼は文学者で、詩人。そして、心霊研究家の開拓者として功績を残した人だったようです。
浅野氏の解説によりますと、マイヤースは1882年に少数の同志と協力して『英国神霊協会』を創立しています。
現在も使われている「超常 supernormal」や「テレパシー telepathy」などの用語は、彼が創案したのだそうです。(そうだったんだ!)
1901年に亡くなったマイヤースは、死後30年経って、当時自動書記の能力があったジェラルディン・カミンズ嬢を媒体に選び、霊界通信を始めました。
マイヤースは自分の霊界通信の困難さについて、つぎのように述べています。
(現代の漢字と仮名づかいに直して記します)
『人間の潜在意識は、われわれ幽界居住者にとって、なかなか取り扱いにくいものである。
われわれはこれにわれわれの通信を印象する。
われわれは決して直接に霊媒の頭脳に印象するのではない。
そんなことはとうてい不可能である。
潜在意識がそれを受け取り、そして頭脳に伝送するのである。
頭脳は単なる機械である。
潜在意識はちょうど柔軟なロウのごときもので、われわれの思想の内容を受け取ってくれ、そしてこれを言葉の衣装で包むものである。
いわゆる十字通信が困難なのはこれがためである。
思想の伝達には成功するとしても、これを表現する言葉は、主として潜在観念の受け持ちにかかる。
ゆえに、もし私がある文章の前半を甲の霊媒に伝え、残る半分を乙の霊媒に伝えたとしても、それは主として内容の問題で、言葉の問題ではない。
もちろんこちらはなるべく思想と同時にこれを盛るべき文字をも伝達しようとはするのであるが、実際の綴り方は、どうしても霊媒の記憶から来るので*誤謬(ごびゅう)もできる。
そして時とすれば、全然霊媒の用語のみで表現されてしまうこともある』
浅野氏の翻訳を忠実に書き出してみましたが、わかりにくいことばや言い回しがあったかもしれません。
*誤謬は、間違い、あやまりという意味。
*十字通信というのは、カミンズ嬢とレナルド夫人が別々に同じマイヤースからの通信を受け取って、比較研究をおこなったことを指している。
★ 霊界通信はむずかしい ★
★ここで、わたしがこの内容を、なぜ皆さんにお伝えしようと思ったかですが、いかに霊界通信が大変であるかをマイヤース自身が語っているからです。
通信の内容は、マイヤース自身が直接ペンをとって書いたものではありません。
伝えているのは「あの世の人」なのですが、それを表現するのは「この世の人」だということです。
書記は実際に霊媒となった人が行なうので、その人の魂の進化の程度や言語量や表現力が乏しいと、「あの世の人」が真に伝えたいようには伝えられないということなのです。
最近海外ではチャネラーと称する人たちが、頻繁に異星人や宇宙の某存在のメッセージを伝えていますが、それもやはりチャネラー自身に、世界の地理や歴史に対する知識がなかったり、存在が伝えようとするボキャブラリーがなかったりすると、当然のことながらその存在は、正確に伝えることがむずかしくなるということです。
ここで、霊界からの伝達がどこまで正確に伝えられているか、という疑問が生まれてくるわけですね。
また、ここで気づかれた人もおられるかと思いますが、マイヤースは最初に『人間の潜在意識は、われわれ幽界居住者にとって、なかなか取り扱いにくいものである』と語っています。
この『幽界居住者にとって』というところに着目すると、彼は幽界にいて、幽界から通信していたということになりますね。
「霊界通信」ではなく、「幽界通信」だったなんて、これにはちょっと驚きました。
マイヤースは、自分には知識と経験に限りがあるということ、ただ自分が見た事実を物語ろうとするだけのもので、自分がこれから伝達しようとすることは、すべて自分自身の他界における知識の発表であって、自分には自分が知っている事実しか物語れないと伝えています。
第6章の『類魂』の箇所でも、彼はつぎのように語っています。
『現在私の居住する超物質の世界には、無限に近いほどの生活状態があるので、私はただ私が知っているだけしか説明できない。
私は決して絶対に誤謬をせぬと言わないが、だいたいこれから述べるところを一の定理と考えてもらいたいのである』
マイヤースは高次の階層にいたわけではないようですが、とても正直な人柄であることは、わかりますね。
彼が伝えようとした内容自体には、ウソやまやかしはないように感じられます。
それが、「その霊人のその次元における真実」なのですから。
★ 霊界通信はどこまで信じられるか ★
霊媒が他界からの通信を翻訳して書いた内容を、また日本人が翻訳して書いていて、それをわたしたちが読むのですから、しだいに信憑性が薄れていくのは仕方がないと思います。
マイヤースの「霊界通信」をはじめ、「シルバーバーチの霊言集」、また、さまざまな有名人たちの霊言など、巷には「霊言集」であふれかえっていますね。
特にシルバーバーチが大好きで、その通信を心から信じ込んでいる人たちはたくさんいらっしゃるようです。
わたしも何冊か読んでいます。
しかし、どんなにシルバーバーチが謙虚で気高く、すばらしいことばを発していようと、「霊言集」のすべてを丸飲みしないほうが賢明のように思います。
確かに非常に納得できる箇所はたくさんあります。
けれども、「そのように断言するのはどうかな…」と思う箇所、「何か変だな…」と感じる箇所もないとはいえないからです。
その霊言のすべてが、真にシルバーバーチだけのメッセージであるのかどうか? についても疑ってみることです。
ですから、さまざまな「霊界通信」や「異星人をチャネリングした本」を読むときには、決して鵜呑みをせず、常に自分の感覚を大切にしながら読み進め、理解していくことが肝要であると思います。
スピリチュアルが好きな人のなかには、疑うことを知らない純真な人たちもいますから、要注意です。
やたら「それはこうなのだ」とか、「それは絶対にまちがっている」とか、何事につけても断定する人たち。
あるいは、自分とは異なったことを主張する人に対し、バカにしたような口調で裁くような人たち。
そういう人たちが信じているものというのは、とりあえず「怪しい!」と疑ってみたほうが賢明です。
★この世界に「絶対に正しい」といえるものがあるでしょうか?
また、「絶対にまちがっている」といえるものがあるでしょうか?
わかっているのは、この世界のすべてが相対的で、ものごとの正否はそれぞれの人の意識レベルで決められるものだということです。
大疑は大悟の基(たいぎはたいごのもとい)といいます。
大いに疑問を持つことが、後に大きな悟りを得るもとになるということです。
さて、あなたはどのように感じられたでしょうか?
「類魂説」についてはまた今度ということになりますが、次回をお楽しみに。